【取材小話】№4...国に対してのスマートさに歯痒さも感じる土壌、地中熱業界

「土壌・地下水環境や地中熱事業の業界はおとなしい」。

 それが専門紙記者をしてきた私が感じる率直な感想です。


 公共事業系等含めてその他分野の業界団体は、もっとギラギラしたものがあり、5月、6月にもなれば、次年度予算概算要求を前に要望大会を開いたり、決起大会を開いたり、陳情活動をしたりして、次年度事業の新規事業の創設や予算の増額・重点化などを要望しています。

 しかし、土壌・地下水環境事業や地中熱事業は、民間ビジネスが中心だからなのか、そうしたギラギラ感がなく、とてもスマートな印象なのですが、逆を言えば、業界や現場の声が所管官庁に届きにくく(実際に、霞が関の方からそう聞くことがあります)、事業の重点化等の際に「どうなるのだろう?」と記者が思うほど、おとなしい感が否めません。


 かつて担当していたことがある業界団体では、陳情活動も取材して欲しいと要請があったものです。


 団体の長から役員一同が集まり、まず永田町の議員会館に出向き、○○政治連盟の議員の方々に要望書を説明、手渡し、その足で所管庁へ行き、大臣、政務官へ要望書の提出、そして局長級、部長級、課長級の方々にまで要望書を持参し、予算の確保や拡充などを要望していました。


 そうした形が正しいかどうかは分かりませんが、少なくとも霞が関の官僚にとっては現場が最も望んでいることを明確にすることができ、予算編成時の財務当局との折衝では要求する根拠材料になります。ですので、某部長級の方はいつも業界に対し、「そうした声はどんどん教えてほしい」と話されていました。


 汚染者負担の原則、法律上の調査義務が土地所有者にある土壌環境事業では、一民間の調査や対策に補助事業を創設するのは難しい部分がありますが、対策はおろか調査費用すら捻出するのが難しい零細事業者もいる中で、直接の補助金でなくとも何か打開策は考えられないのだろうか…そんな気がしています。(土壌汚染対策基金はありますが、要件が極めて厳しく10数年で2例しか適用されていない状況ですし)


 地中熱はこの数年、補助事業が拡充されるなどし、比較的優遇された予算措置が講じられてきましたが、どうも2020年度より先は不透明…。イニシャルコスト等の諸課題が残る中、地中熱システムを直接補助する仕組みが本当になくなって大丈夫なのか?いささか心配にもなります。


「そういう業界とは違うから…」と言われてしまえばそれまでですが、環境を良くするための事業を手掛けられ、結果環境浄化が進んだり、省エネや温室効果ガスの削減に繋がったりするのですから、もっと積極的に打って出ても良いのではないか…そう思う今日この頃です。

「GeoValue」~環境と安全・安心から土地の価値を~ECO SEED

ECO SEEDは、環境専門紙における10数年の記者経験を生かし、環境ビジネスのさらなる発展とその結果生まれる安全・安心な社会に繋げるための情報発信、環境系団体や環境ビジネス事業者の広報、啓発活動などをサポートしています。(代表・名古屋悟) 【主な取り組み】 ・オリジナル電子媒体「GeoValue」の配信(有料) ・広報コンサルティング など。

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