【エコビジネスライターの感じたこと】
第6回豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議が本日5月18日、築地市場内で開かれましたが、対策案の審議が進められぬまま閉会となりました。市場関係者の方々をはじめとした傍聴者の方々から会議進行等々への意見が相次ぎ、対策案の審議を進められるような状況ではなくなっていました。
これは昨夏以降、感じているものですが、市場関係者の皆さま、東京都中央卸売市場、専門家会議の先生方の間に、大きな隔たりがあるように思います。
市場関係者の方々は合意形成のあり方を重視しています。
豊洲移転が決定した当時に東京都が約束した「無害化」や「盛土」等がなされない状況が昨夏以降、明らかになってきていますが、東京都がそのことを前提に当初の目標は達成できないことを曖昧にしたまま、約束が守れていない部分をなし崩し的に専門家会議の報告で対策案を作り、移転を進めようとしているように感じているように思います。
つまり、移転にやむなく合意した前提が崩れているのに、崩れたままの状況で押し切られそうになっていることに強い怒りを表しています。
都が関係者に対し、「当初の前提が守られていないため、対策案を検討してみたいと思いますが、関係者の皆さまいかがでしょうか?」という説明、意見聴取、合意もないまま、対策案の検討が専門家会議に委ねられて議論が進められていることを問題視しています。
一方、専門家会議は、当初計画とは異なる盛土がない状態、地下ピットがある状態で当初計画通りのリスク管理を実現するためにはどういう方法があるのかを検討してほしいという都の要請で再開しています。
専門家会議メンバー、市場関係者の方々、双方ともに異なる前提のまま議論が進められてきたことが混乱の元凶になっています。
中継を傍聴していましたが、専門家会議の先生方の会議の進行は専門家会議としてまっとうだと思います。一方で、会議の議論に異論を唱える市場関係者の皆さまの意見もまた至極当たり前の感覚だと思います。
専門紙への寄稿や「GeoValue」で再三書いてきたことですが、やはり都の情報管理のあり方やステークホルダーへのコミュニケーション不足が最大の足かせになっていると言わざるを得ないように思います。
専門家会議再開にあたっての準備をしないまま専門家会議を再開し、第一回から第六回にわたり会議が進められてきたこと、何度も会議前にマスコミに情報が漏洩が繰り返されてきたこと、関係者の意見が反映されるのか感じにくい状況であることなどが、関係者の不信感をさらに助長していることは間違いないでしょう。
しかし、専門家会議座長の平田健正先生が、科学者として、さらには人格まで否定されるような批判を浴びせられていた点は、いささか行き過ぎだと思います。会議そのものはクローズドにもできたはずなのに、関係者の方々の不信感を考えてフルオープンにした平田座長の気持ちを考えると、人格まで疑うという批判は聞いていても不快なものでした。
第6回会議は途中で時間切れという形となりましたが、今後都がどう進めるのか、知事がどう考えるのか、都議会がどう進められるのか、引き続き社会的な関心を集めることは間違いなさそうです。
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