エコビジネスライターの名古屋です。
土壌・地下水汚染では、よくトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物やヒ素や鉛等の重金属類が大きく取り上げられる事がありますが、地下水汚染だけを見ると最も基準超過が多いのは、硝酸性・亜硝酸性窒素です。
しかし、一般紙で取り上げられ、大騒ぎになるようなケースはあまりありません。
でも、土壌・地下水汚染の取材を始めたからには、この硝酸性・亜硝酸性窒素の現状も知りたいという思いから、取材先を探しました。
結果、某県が取材を受けてくれることになり、しかも現場も案内するというので連れていって貰うと、衝撃を受けました。
湧水を利用した農業用のため池は、見たことのないコバルトブルーの水をたたえていました。
「硝酸性窒素濃度が高く、魚はもう住んでいません」
担当者の方の言葉と今目の前に広がる不自然ながらも美しいコバルトブルーの水面が頭の中で噛み合わない感じを抱きつつ、ただただ水面を見つめていました。
水面がコバルトブルーなのは硝酸性・亜硝酸性窒素そのものの影響ではないとのことでしたが、確かに生き物の気配がない静かな静かな水面がそこにあるだけでした。
硝酸性・亜硝酸性窒素は、農業が盛んな地域でよく基準超過が見られるものです。
大量に使用する肥料に含まれている窒素が、植物に消費されないまま地下水に達した結果、人の健康に影響を及ぼす硝酸性・亜硝酸性窒素という形態になって、地下水に溶け込んでしまうものです。
しかし、あの生き物の気配がない水面は今も瞼に焼き付いています。
※取材終わりかけの時、たまたま水辺を覗きこんでいたら小さな魚が何匹か見え、県担当者に伝えると、すでに消え去ったはずの魚を見た担当者が「あ!魚が居た❗本当に居たよ‼️」ととても嬉しそうにしていたこともまたよい思い出になっています。
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