エコビジネスライターの名古屋です。今回は土壌汚染の現場取材について少し過去を振り返ってみます。
土壌・地下水環境を取材分野として久しいですが、土壌汚染の現場取材というのはなかなかできません。
汚染の存在がその土地の価値を低下させてしまう事や風評により必要以上の批判にさらされかねないこと等から、土地の所有者の理解を得るのがとても難しく、そうそう取材の機会を得ることはありません。
そんな中、現場取材による連載を始める事を決めた私が初めて汚染現場を取材したのは、西日本地域の住宅街で判明した土壌汚染でした。
かつて土地造成の際に投棄された物質が、時間を経て地下水位の上昇等と共に地表近くまであがってきて、かなりキツい異臭を放ち、住宅街に住む方々の生活を脅かしているという物でした。
法律等の仕切りから言えば、土壌汚染というよりは廃棄物の不法投棄と言った方が正確かも知れませんが、土壌が汚染されていることには変わらず、現場に足を踏み入れた瞬間、その深刻さに声が出なかった事を今でも鮮明に記憶しています。
激しい臭気に微かに頭痛がしはじめ、日々この土地に住まれている方々の身体的、精神的な苦痛の一端を垣間見ました。
当時勤めていた新聞社で連載記事にしましたが、後に大きな社会的問題になる豊洲市場予定地等も含めて、あの現場程強烈なケースはありませんでした。
このケースは、住民の方々と土地販売者の訴訟案件となり、後に裁判所の和解調停で一定の決着をみましたが、汚染対策がされたという話はありません。
0コメント