特集:土壌汚染に悩む中小事業者へ④~指定調査機関に聞く:㈱セロリ

指定調査機関㈱セロリ(指定番号2005-3-2001)

代表取締役 遠藤哲哉さんに聞く

対象地域:全国


 中小事業場等が土壌汚染に向き合う時のポイント等を土壌汚染対策法に基づく指定調査機関に聞くシリーズ。今回は、土壌汚染で困っている事業者や土地所有者の悩みをきめ細かく聞き、同社が持つ土壌汚染調査、浄化対策技術で、数多くの問題を解決してきた㈱セロリ(神奈川県厚木市妻田西1-2-3 Kワンビル108)代表取締役の遠藤哲哉さんに、中小事業場や工場、土地所有者が土壌汚染に向き合う時の課題やポイント、向き合い方について話を聞きました。同社は多額の費用がかかる汚染浄化の低コスト化に向けた技術開発等にも取り組んでおり、注目されます。(聞き手:エコビジネスライター・名古屋悟<ECO SEED代表>)

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◆印象的だった事業所代表者が調査完了前に他界し、配偶者が清算人になったケース◆


 聞き手:御社は中小事業者等の土壌汚染問題に対して調査・措置で関わられてきましたが、これまでに経験した中小事業者の土壌汚染調査・対策で印象的だった事例はどのようなケースがありますか?

 遠藤氏:小規模メッキ事業所が事業の清算をするにあたり、土壌汚染について相談を受けたケースがあります。その後、法3条の調査に着手したところ、事業所の代表者が調査完了を前に他界し、配偶者が清算人となりました。

当時、3条調査の120日以内報告に例外はなく、代表者死去の混乱の中で、清算人を励ましつつ行政に調査報告し区域指定を受けました。

 事業所は23区内の高地価エリアにあり、指定解除後に土地を売却し様々清算できましたが、清算額の半分以上が土壌汚染対策費用となりました。清算人となった配偶者は、経済的にも苦しみましたが、自死を考えるほど精神的に追い詰められ、土壌汚染対策法の存在意義について、つくづく考えさせられました。


◆問題解決の備えができる操業中に定期的な調査を義務付け、状況に応じた指導を義務化することが肝要◆


 聞き手:これまでの経験を踏まえ、中小事業者の土壌汚染対策で事業者自身、制度などそれぞれで課題と感じる点はどのようなことですか。

 遠藤氏:そもそも、大企業における土壌汚染の問題が、土壌汚染対策法の必要を喚起した背景があり、当然にして制度は必要だと考えています。

 さながらにして、広大な土地の一部が調査対象地だったり、事業継続は将来において約束されているため、3条ただし書きの調査猶予を受けて、調査すら実施しないケースもあります。この場合、企業が受けるダメージは小さく、さらにいうと、土壌汚染対策が原因で倒産した大企業はないと承知しています。

 他方、小規模クリーニング事業所などで、事業者の高齢化によって事業所を廃止する場合など、全敷地が全部対象区画になり、土地の売却によって制度の義務を果たせればまだましであり、低地価であれば問題を解決できません。

 法を前に、事業の規模に関わらず、土地の汚染が許されるものではありませんが、事業規模における実態には、天地の差が存在しています。

 聞き手:課題をクリアするために必要だと思うことは何ですか?

 遠藤氏:土壌汚染リスクのある事業所では、操業中に定期的な調査を義務付け、状況に応じた指導を義務化することが肝要と考えます。

 事業継続中であれば、モチベーションも維持できるし、資金繰りの中でできることをしていけば良く、廃止時の費用負担も顕在化され、問題解決についての備えもできます。

 現行の制度では、汚染が拡大する可能性があるにもかかわらず、操業中の調査が義務化されていないため、最悪な汚染状況で廃止時に対応しなければなりません。


◆弁護士、宅建業者など広くネットワークを構築し、顧客をサポート◆


 聞き手:御社ではブドウ残渣を活用した原位置浄化技術の開発等にも取り組むなどしていますが、中小事業者の土壌汚染調査・対策において御社の強みを教えてください。

 遠藤氏:掘削除去健全土埋め戻しを選択する風潮は根強く、高額な浄化費用の負担を念頭に置き、問題に着手できない事業者が少なくありません。

当社は、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンによる土壌地下水汚染に対し原位置浄化、オンサイト浄化を提案し、低コストでの問題解決に取り組み実績を積み上げてきました。

その中で大切なことは、迅速に対応し、事業者との信頼関係を築くことです。さらに、弁護士、宅建業者、時間貸し駐車場業者、金融機関など、考えうるジャンルに広くネットワークを構築し、顧客をサポートしてきました。

 低価格で調査を受け報告して終わり、そういう調査会社もあるようですが、病院で症状を診察され対処をしない、そんなことでいいのか?と思います。

最初から最後まで、顧客目線で問題解決を図る、ここを重視し差別化していきたいと常に考えています。

 聞き手:御社の対象エリアは。

 遠藤氏:原則的に全国各地です。関東地方に拠点を置いていますが、これまでも全国各地で土壌汚染の相談に対応し、技術と経験を背景に、多くの中小事業者と歩んできました。

聞き手:事業を行っている場所で土壌汚染の可能性があって悩んでいる中小事業者等へのアドバイスを。

 遠藤氏:当社も小さな会社であり、中小事業者の経営の悩みは同様です。

 1人で考えていても歩みは進みません、まずはご相談ください、秘密厳守、誠心誠意、心を込めて対応いたします。(終わり)


※㈱セロリのホームページは以下アドレスを参照ください。

https://www.celery.co.jp/

「GeoValue」~環境と安全・安心から土地の価値を~ECO SEED

ECO SEEDは、環境専門紙における10数年の記者経験を生かし、環境ビジネスのさらなる発展とその結果生まれる安全・安心な社会に繋げるための情報発信、環境系団体や環境ビジネス事業者の広報、啓発活動などをサポートしています。(代表・名古屋悟) 【主な取り組み】 ・オリジナル電子媒体「GeoValue」の配信(有料) ・広報コンサルティング など。

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